2022 09 23
セリーヌ・シアマのシグネチャー、「視線」の映画。時代性を特定させない演出をしていると監督のインタビューで見かけた気がするが、仮にα世代の少女だとすると、α世代らしい自律しすぎた2人が、Z世代の自分としては本当に異質(褒め言葉)。それは『C'mon C'mon』でも感じたことだ。
「母」あるいは「娘」はある種、演じることで成り立つ、社会的に演じることを強要される属性である。だからこそマリオンとネリーの、自分たちのアイデンティティとは異なるキャラを「演じる」遊びはセラピー的な働きをする。冒頭、運転する母に後部座席からスナックをあげる娘の時点で、「母→娘」=「食べ物をあげる人→食べる人」という構図の逆転が起き始めているように。
ちょっとした後悔や過ちは、誰のせいでもないけど、一生尾を引く。そこに、そっと優しく交流と許しを。そんな映画。