石戸

秘密の森の、その向こうの石戸のネタバレレビュー・内容・結末

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

子供側が親側をどうやって恐れて愛して許しているかが何気なく愛しく描かれていて胸が痛かった。ネリーが車内でお母さんにスナックを差し出したり、実母を亡くしたマリオンについて「お母さんは悲しいの」と伝えたり、妻がいなくなった父を「悲しそう」と思っていたり、母の今までについて「ここにいたくないって感じの時がある」という目で見てきたこと、ネリーからの慈悲を感じる一瞬一瞬が切なくて泣けた。子供の母親と出会って父親の中にいる子供の父親を探そうとするところ、それを大事だと思っているところが真摯だと思った。最後にネリーが母親をマリオンと呼んだ時、家を出ていってしまった母の中にいる子供のマリオンに目を注いでいるようで許しを感じた。8歳の子供の世界の解釈は平らかで、仰々しい別れの挨拶を持たせることなくオルヴァという言葉に込める意味を変えて抱きしめることだけを望んだり、8歳の母親と出会ったことをそうなんだと受け止めて一緒に遊んだり、まだ全てが定まりきっていなかった子供の視点を思い出した。画面の全てが美しくて日常描写や会話が愛おしい。大好きな映画になった。
石戸

石戸