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秘密の森の、その向こうのtokiwa3256のレビュー・感想・評価

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)
3.9
配信で観た『燃ゆる女の肖像』が
凄く良かったので、
セリーヌ・シアマ監督の最新作は劇場で観ようと事前情報は全く入れずに鑑賞。

まず尺が73分と短いことに好感を持った。
「料金が同じなら長く」というのもわからんではないが、削ぎ落とすだけ落とした映像だからこそ集中して鑑賞できた。
最初に森で出会うマリオンの格好が前日のママにそっくりなことで「ああ、なるほど!うまいなぁ...」って、そこからこの物語に入り込んだ。でも原題がそのまんまなんだね。

深田晃司監督の『LOVE LIFE』は黄色が映像のテーマだったが、この映画は青色がそれですね。
最初の病室のカーテンや寝衣・毛布・シーツ・タイル・洗面所・家具など部屋の至る所から煙草の箱や牛乳パックまでも。さらにネリーはゲームの駒を「bleu!」と選んでいた。

それにしても、セリーヌ・シアマ監督って
本当に「男嫌いの女好き」なのね。。
女性監督に「女好き」って言うのもどうかとは思うのだけど、、
ストーリーの構成上、仕方なく「パパ」を登場させたが如くの雑な扱い(笑) 髭剃りのシーンだって鏡越しにして映像をぼやかしているし...
その反面、少女たちやママたちのショットは、ほぼ接近して舐めるように美しく撮影されている。少女目線ってこともあってか、カメラの位置も低めで構図もバッチリ決まっていて美意識が凄く高い監督さんである。

この日はイタリア映画の『3つの鍵』をハシゴしたんだけど、どちらも劇場で観られて良かったです。ストーリーの深みは上記作品、ショットの良さはこの作品かな。
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