近本光司

秘密の森の、その向こうの近本光司のレビュー・感想・評価

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)
4.0
母の少女時代に会うことができたとしたら、わたしは彼女と友だちになれるのだろうかという、だれもが一度は想像を膨らませたことのあるような素朴な疑問に、この映画はきわめてシンプルに、力強く応えている。
 双子のように瓜二つの8歳の女の子たち(実際に双子らしい)の別れぎわの会話。一方ではElle が Tu になり、もう一方ではElle が Je になる。そして最後に実の母と交わされる固有名の呼び合いが、いかに感動をもよおすか。『燃ゆる女の肖像』にはあまり心を動かされなかったが、こちらは大いに推したい。