ヴィルヘルム・ハマスホイの言葉の中で「古い部屋には、例えそこに誰も居なくとも独特な美しさがあると思っている。あるいは、まさに誰も居ない時にこそそれは美しいのかもしれない」という好きな言葉がある。
過去形になりつつある家と、現在形である家が交互に映り、その家にある時間の蓄積を細やかに映しとっていく。
そこで立ち上がってくるものは寂しさや不安だったりもするのだけど、それこそが美しかったりもする。
思い返せばファーストカットは"居る"部屋が連続して映されたのちに、"居た"部屋が映されていた。
その次のショットでは、ハマスホイが妹アナを書いた背姿の様なバックショットが映し出される。
ショットの繋ぎ方の大胆さに息を呑むように感動した。
当然のように素晴らしい撮影にも勿論感動した。