ところどころで見られる平面的で絵画みたいな美しい画面に見とれてしまいました。
特に色彩が美しかったです。電球の光の中で人物の顔だけに月明かりを当てたり、森に敷き詰められた落ち葉の中に青い服の主人公を配置したりと、暖色と寒色のコントラストがすごく良かったです。同い年の母娘を、母を赤い服、娘を青い服にして見分けられるように(?)しているのですが、それがわざとらしくなく、自然に見えるようにうまく設計されてました。
窓枠にタイトルを重ねる冒頭のカットをはじめ、構図も素晴らしかったです。
自分の同い年の頃の母と存命中の祖母と出会うという不思議なストーリーです。世代を隔てる時間を越えて同じ場所での記憶や体験を共有することで、分からない他人に少し近づく。でも少しだけ。そんな抑制された印象があってすごく好きです。
なんというか、人間の辛さも描きつつも、すごく優しくて美しい映画で観ていて癒されました。