針鼠

秘密の森の、その向こうの針鼠のネタバレレビュー・内容・結末

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

2023/11/15 amazon prime ★★★☆☆ ネリーの視点で描かれている映画なのだけれど、見ながらついついマリオンの視点で考えてしまっていた。

マリオンには「8歳の時にネリーと出会った」という過去が本当にあったんだろうか? 実はマリオンの方には「8歳の時にネリーと出会った」という過去はなかったんじゃないだろうか? 

そんな過去があったのならば、マリオンは「自分の母は自分が31歳になった時に死ぬ」ということをも知っていたはずだ。知っていて望ましくない未来を変えようとはしなかったんだろうか? 生まれてくる子供にネリーという名前を付けないことだけでも、ひょっとしたら未来は変わるかもしれないなどと思ったりしなかったんだろうか? 

それともネリーと出会ったことをすっかり忘れていただけなんだろうか? でもそんな出会いを忘れてしまったりするものなんだろうか? それとも「信じる」と言ったものの、やっぱり信じないことにしたんだろうか?

マリオンが姿を消す原因になった「耐えられないこと」は「自分が31歳の時に母が亡くなることを実は自分は予め知っていた」ということかもしれない。

知っていて何もしなかったとか、なんとか色々止めようとはしたけれど結局止められなかったとか、知っていたのに信じなかった、信じないことにしてしまったとか、「耐えられないこと」は多そうだもの。

姿を消したのは、自分は自分にとって望ましくない未来の実現を変えられなかったけれど、せめてネリーにとって友達と過ごした「いい時間」の実現の方は、妨げたくなかったからかもしれない。 58/2023



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