みんと

ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう/見上げた空に何が見える?のみんとのレビュー・感想・評価

3.9
不思議な映画だった。不思議だけど最後まで引き込まれる映画だった。

ジョージアの古都、クタイシを舞台にしたおとぎ話のようなラブストーリー。偶然が重なり、カフェで会う約束をした男女が、呪いで互いに外見が変わり、知識や才能を失いながらも、約束の場所で一途に相手を待つ姿を描く。

“呪い“と言っても決しておどろおどろしいものではなく、幼木や風、監視カメラや雨樋が2人の恋を邪魔する存在として描かれる。まさにおとぎ話のように。

有り得ない設定であり、ありがちな設定でもあるけれど、穏やかに日常の風景を紡いでいく16ミリフィルム撮影と、さり気なく被せるピアノとハープの音色が終始心地よく、まるでジョージア旅行へと誘っているかのよう。

夜のクタイシの街が抒情的でそれは美しい。そして、初夏の光に包まれた部屋、そよ風に揺れるカーテン。どこを切り取っても絵画のように美しい。"呪いと一目惚れ"という不思議な組み合わせが、ありふれた日常に魔法をかける。そして輝かせる。

途中、観客に向けた「注目!」「目を閉じて!」に意表を突かれる。きっとカテゴリー的にはヘンテコ映画に違いない。
けれど、不思議と引き込まれる。

登場するワンコたちがまた可愛い。
横切ったり、立ち去ったり、寝転んだり、映りこんだり、サッカー観戦したり…
間違いなく監督のワンコ好きが想像出来るし、なんだったら動物愛を強く感じるくだりも。


サッカー、犬、子供、足、呪い、音楽、風景、ハチャプリ、アイスクリーム、アート味、クローズアップ、遊びごころ、監督の優しい眼差し、監督のナレーション…
沢山の気になる要素が詰め込まれた、ユニークでいて心地好い作品だった。

好みは別れる気がするけれど、個人的には次作が気になる好みの作風だった。
みんと

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