Asino

アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイドのAsinoのレビュー・感想・評価

4.0
「アイム・ユア・マン」11/5
単に「理想の行動をしてくれる美しい男が現れたら、人はアンドロイドと恋に落ちるか?」という話ではなかった(いや、見た目がダンスティーブンスなので、なかなかなびかない主人公はガッツあるな。と思いましたが!)
もっと早く見ればよかった。貼ったのは韓国版のポスターなんだがこのシーンとても好きだった。

もちろん最初は事前の予想通りな感じで始まるのだが、最初に提示される「理想の恋人」像は、いかにも男性たちが適当なアンケートとかに基づいて勝手に想像した「女の人ってこういうの好きでしょ?」的な非日常感とわかってなさ具合に満ちていて、コメディ要素が強い。

しかし次第に主人公のことを「学習」していくトム(イギリス訛りのドイツ語をしゃべるダンスティーブンス、という絶妙さよ)とのすれ違いと共感の連続を経て、主人公の「どうせ全部プログラミング」という不信感が和らいでいくと、主人公の孤独感あるいは将来への不安感の本質が見えてくる。

それは最終的には、独身か子供がいるかとかいう要素だけでは決まらないものだと思うし、その裏返しでなにかに依存することの危うさや盲目さについても見えてきて、人生はその合間の危ういバランスの間にあるものだ。と思わされずにいられない。

最終的に主人公が3週間のテストのあとトムをどうするのか? は曖昧なまま終わるのだけれど、どちらの選択も否定も肯定もしない感じの描きかただったからそれもよかった。
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