緩やかさ

イントロダクションの緩やかさのレビュー・感想・評価

イントロダクション(2020年製作の映画)
3.6
ホン・サンス近作がいつのまにかU-NEXTに来ていた。

名前は覚えてないものの、知った顔ばかりのいつもの役者さんたち。
みんな少しずつ歳とってる。キム・ミニも一応いる。

主演の青年は「ロング・グッドバイ」のエリオット・グールドと見紛うばかりに切れ目なく喫煙している。2020年なのに。

食卓の撮り方にバリエーションが増えた。
真横からに加えて、斜めからの寄り引き。これは良い。臨場感が増す分、ほかに誰もいない(かのような)飲食店の異様さも際立つ。

今回の飲み会クラッシャーは大物俳優(役)のおじさん。
若者たちに「約束しろ。飲んでもいいけど絶対に酔うなよ」と強要し、自分は酔ってブチ切れる(最悪)。(そして「少し飲み過ぎた」と反省してる)


モノクロで、撮り方はたぶんかなり雑。
謎ズームは減り、適当パンが増えている。ピント外しまくり。

ホン・サンス監督は本当に音楽の使い方が上手い。絵心という意味での音楽心があると感じる。最小限でピリッとする。

最終盤で、あ、これまた時系列いじってる、とわかりイラっとしてくる。

ラストの海の二つのシークエンスは解釈することを放棄してボーッと観ていて、ただ美しかった。

状況も季節も違えど、つげ義春の短編「海辺の叙景」を映像化するときっとこんな感じだろう。
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