お望月さん

アンラッキー・セックス またはイカれたポルノのお望月さんのレビュー・感想・評価

4.2
現実と虚構のモンタージュで「最低」を描いた映画である。自家製ポルノが流出してしまった被害者女性を吊し上げる空前絶後の学級会が3パターンのエンディングで描かれる。3パターン?3パターンナンデ!?

クライマックスの学級会ではルーマニアの複雑な国民性が如何なく発揮されており、さすが『コレクティブ』を生み出した国のパワーだなと脱力していく。

第一幕は、主人公がルーマニアを歩く場面が続く。とにかく治安と風紀の低さが目立ち、マスクをしながらタバコを吸う描写を差し込む等のいじわるさが目立つ。

第二幕は、監督がスライドショーで語るルーマニアブラックジョーク辞典の「モンタージュ」。最も睡魔を誘う場面だがトロでもある。

第三幕は、お待たせしました学級会。世界レベルの最低インターネット学級会が繰り出され、議論は成立せず害された感情だけが残る。流出して削除されたビデオを保護者が保存して再配信している地獄の永久機関はクラクラした。すばらしい。

以上の通り、不快で最低なフィクションであるが、徹底的に戯画化したことにより一定のリアリティをもったドキュメンタリーとして楽しめてしまう。参りました。