片山幹生

やすらぎの森の片山幹生のレビュー・感想・評価

やすらぎの森(2019年製作の映画)
4.7
『やすらぎの森』という邦題はミスリードで、原題「雨が降るように鳥たちが落ちてきた」Il pleuvait des oiseaux という不穏さを感じさせる詩的なタイトルが何を示唆するのか思いながら、見入るのがふさわしい作品だ。ケベックの針葉樹林の寒々とした森の中に隠遁し、人生の最後を自由に生きようとする老人たちは、「ノマドランド」を想起させるところもある。劇中で重要なモチーフとなるテクスト、絵画、写真、音楽が本当に優れた芸術作品であり、それらの象徴性が作品に深遠さをもたらしている。