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明け方の若者たちのminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

明け方の若者たち(2021年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

大学生の主人公は内定獲得者の懇親飲み会で年上の彼女と出会い、やがて二人は付き合い始める。彼女や友人たちとの日々は満たされていたものの、社会に出た主人公は自身が描いていた理想と現実とに隔たりを感じて苦悩するのだが......という話。
主演は北村匠海。本作のメガホンをとった松本花奈監督の過去作で「21世紀の女の子」「キスカム」を観ていたので鑑賞。原作小説は未読。

学生と社会人の狭間の時期における若さあふれるきらめきと、仕事での戸惑いや恋愛でのすれ違いに苦しむ若者たちを描いた青春もの。以前観た「ボクたちはみんな大人になれなかった」に近い感じで、それを新卒三年間に凝縮したような作品。

内向的な主人公とヒロインの少女マンガのような出会いから始まる恋愛パートはかなり甘酸っぱい。彼女役の黒島結菜は美人だが現代風のおしゃれさとは一線を画していて、院卒の年上彼女という役柄に合っていた。無邪気で謎めいたヒロインを魅力的に演じていて、主人公カップルが心を通わせていく過程は微笑ましかった。主人公の同期の優秀な友人とのじゃれ合いも楽しく描けていた。

反面、社会人数年間の現代とのギャップの描写はやや弱い気もした。企画部志望が総務部に配属されて地味な仕事と古い慣習に苦しむというのもベタだし、職場の人間関係も問題なさそうなので全然悪い職場には見えない。総務部の縁の下の力持ち的な部分も若干は描かれていたもののやや消化不良だった。

ただ、中盤で明かされるヒロインの秘密を知ったあとでは、主人公の心が不安定で仕事に支障きたすのも無理ないのかなあとも思った。ヒロインと別れたあとに主人公が友人の支えで立ち直り、仕事に真摯に向き合う姿は好感がもてた。最後にヒロインとの思い出の地を訪れるというのも感慨深いラストだった。

どうでも良いが主人公はこのまま同じ会社に勤めるなら後輩の女の子と結婚しそう......

序盤のデートでの餃子の王将用語クイズがかなりマニアックだった(^^)
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