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明け方の若者たちのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

明け方の若者たち(2021年製作の映画)
3.2
飽き飽きしてた合コンからひょいと抜け出して
ふたりで深夜の公園で飲む缶ビール 
何となくな打ち明け話の後で
「もしよかったら朝まで一緒にいませんか?」
から始まるビターな恋

学生から社会人
社会に出てぶち当たる『こんなはずじゃなかった』あれこれ(配属とかね) 
親友や恋人と会って話して飲んで笑って
ふと気がつくと夜明けのうす明るい繁華街を2人で3人で歩いて帰るごく当たり前のような日常のひとコマ、でもそれがあの時いつも近くにあったから『僕はこうして(生きて)これている』

明け方、よくマジックアワーとも言う
それを人生に例えてるんだろうと思う
社会に出たての若者、まだ人生のあれこれを背負うほど縛られてはおらず、ほどほどに自由はあり、将来が開けていて、いろいろと身軽い時期

僕(北村匠海)は彼女(黒島結菜)が好きだった、彼女が許してくれた期間、幸せだった

とはいえ、出会って始まった時から不倫だったんだよなあ……
(彼女の夫が帰ってくるまでの3年間限定)
別れたあとの彼の落っぷりをみて、本気で好きだったんだなあーと、彼女を困らせたり悪し様に言ったりする様子が無くて、傷つけられても相手への攻撃に転じないっての美点だねぇ
 
まあ……個人的に僕と彼女より、僕と黒澤(黒澤✕僕)の物語が始まってしまいましたがw

だって、黒澤、いつの間にか僕の家に入れるようになってるんですよ?
(合鍵持ってんの?渡されてんの?)
潰れた僕を介法するにあたって、バスルームでぶっ倒れたところをベッドに運んだってことなんですが……つまり僕は全裸ですよね!?

ベッドに寝かせた僕、僕が起きるまで部屋にいて見守る黒澤、起きた後のフォロー、なんだそのかいがいしさは
んでその時の会話も何かいい……

また会社の屋上?テラス?で黒澤が「俺、会社辞めるわ、転職」っつた時の表情と、ちょっと離れて行きながら僕のほうを振り返り薄く笑う表情とか、これもう余裕でふたりの……黒澤視点のサイドストーリーできるけど!!!!!
……ってなりましたね……笑

マジックアワーを何度なく過ごしたふたり(彼女と黒澤)だし、どちらもそれぞれ物語があっていいような気がします
単なるモブでは終わらない黒澤w

私個人はマジックアワーまで飲み過ごしたことは幾度なくあれど碌な思い出が無い(酔って気持ち悪くなってるか、疲れて虚無ってるか)ので、彼らのような『数年後思い出したら宝物になりそうな時間』を知る、単純にこういう時間を持っててええなーという気持ちになりました