ぶみ

マッハ’78のぶみのレビュー・感想・評価

マッハ’78(1978年製作の映画)
4.0
より遠く、より高く、危険に満ちたロマン・ブルーの彼方へ。

スタンリー・ウィルソン、三保敬太郎監督、大友千秋、黒子明、リンダ・ステイヤー、テッド・ダンカン等の共演によるカーアクション。
アメリカチームと日本チームによる、カースタント対決を描く。
冒頭からひたすらカースタント対決が繰り広げられるのだが、それぞれのスタントに、あたかもスポーツ競技の種目かのようにキャノンロールやトレーラースルーといった名前がつけられているのは興味深いところ。
何より、CG夜明け前の時代だからこそ、すべて本物のカーアクションは、CGやブルーバック全盛となる昨今の作品とは違う本物ならではの迫力に満ち溢れている。
また、何台かが連なって走るシーンは、かつて「街の遊撃手」のコピーとともに一世を風靡したいすゞジェミニのコマーシャルかのよう。
そんなカースタントだけでは、お腹いっぱいになるのを危惧したのか、箸休め程度に主人公のロマンスを中心とした物語が挿入されるのだが、台詞はアフレコによる棒読み、演技は学芸会レベルであるため、正直見れたものではない。
また、途中からは、クラシックカーレースが始まったり、はたまた、デ・トマソ・パンテーラ、ランボルギーニ・ミウラ、マセラティ・ギブリ、フェラーリ365GTB/4といったスーパーカーの品評会のようなシーンがあったりと、懐かしのクルマのオンパレード。
加えて、『巨人の星』や『あしたのジョー』『タイガーマスク』といったスポ根ものの原作者である梶原一騎が製作にクレジットされているのも見逃せないポイント。
物心ついた頃、我が家にあった510型ダットサン・ブルーバードが派手にジャンプして、着地の際、スローモーションでサスペンションがフルボトムするシーン等は感涙ものであるとともに、数多くのクルマが、消耗品かのように壊されていく様は爽快感すらあり、映画としての完成度は低いが、スタントドライバーのドキュメンタリーとして、クルマ好きならば観ておいて損はなく、70年代のパワーに圧倒される珍作。

ハンドルの遊びには気をつけろ。
ぶみ

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