アオヤギケンジ

ボーはおそれているのアオヤギケンジのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
4.0
精神的に完全に参ってしまってるボーが幻覚だか現実だかわからない世界で怖い目に遭う映画。
この話、どこかで知ってる気がするなと思って考えていたらヨブ記だった。ボーもヨブ同様、愛を確かめる(信仰を確かめる)ために散々な目に遭う。ただこの作品ではその愛する対象が神ではなく母親だ。母親はとにかくボーを束縛していて、自分のことを愛するよう求めていたようだが、果たして何をどうすれば母親を愛したことになるのか、ボーにも観客にもわからない。ボーは言葉足らずで、ずっと理不尽な目に遭わされ続けるが、明らかな落ち度があるわけではなく、彼は彼なりの言い分もあるのだが、弁明する機会も与えられない。さらにボーの母親に対する愛は恐怖から来るもののようでもある。
愛と恐怖による支配は結構紙一重で、ヨブ記もあそこまでされたら、怖くて思考も停止し、神を愛している(信仰している)と言うしかないよな、とも思う。