混沌と秩序が渦巻く3時間の旅路。
無法地帯全開な序盤がピークな感は否めないが、全編通して理不尽な不快感を浴びせてくるシュールとコメディを反復横とびする作風はかなり好き。
行動が異常だったり存在が異質だったりする登場人物がいるが、現実と妄想の境とかあるんだろうか。
ボーという人物があんな物騒な街に住んでいるのも何だか違和感がある。単純に持ち前の無垢な選択故か、それとも試練か。
疑問はつきないが、あれやこれやと綴る力もないので「分かるけど分からない」高揚そのままの気持ちで採点した。
エンドロールも文字だけじゃなくラストシーンから地続きなため、良い意味で虚無な余韻に浸れた。
*** 考察を読んだメモ ***
・"水" に纏わる描写が多い事から「母に愛を返さない不出来な息子」と一方的に裁かれたボーが、産道から始まり羊水に還される物語という考察が一番腑に落ちた。
・「ボーは自ら決断を下せず被害者意識があるけど同時にその事に自罰的」「母を愛せない、死んで欲しいと思っている自分もいる」という分析も見かけて唸った。ここまでキャラクターを掴めたら映画を見るのがより楽しいだろうなぁ。