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ボーはおそれているの海のネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

不愉快がずっと続いてすごい!
人生に起きうる最悪が次々やってくるシーンはかなり面白い
不審者に追いかけられる、部屋に毒グモ、苦情の手紙、大寝坊、鍵を失くす、水が出ない、クレカが使えない、小銭が足りない、浮浪者が家に入ってくる、家族の死、いま裸なのにクモが落ちてくる!、誤解で銃を向けられ車に轢かれ不審者に刺され…これが現実と幻覚の間を行くボーの生きづらさか〜と感じた

ママはマリア様で神だった
保護された家で監視されていることが示されるけど関わる人ほぼ皆ママの会社の社員でしたってのはびっくり トゥルーマンショーじゃん
おまけに未来までレールの上ってこと?

劇中劇のアニメーションは期待してたのにあのナレーションでかなり眠かった
ただ唯一母の支配が及ばない空間で、「自分が望んだ人生(自分の家族を持ち愛されること)」に思いを馳せてるのかな…切ね〜〜

ボーは信頼できない語り手、と思ってたけどママもしっかりどうかしてた
富も名声もあり母としても完璧に尽くしてきたはずなのに、息子が愛を返してくれない!とヒステリーを起こしてあらゆる手を使って家に帰って来させようとする
ボーが一番怖れているのは「ママが怒ること」な気がした

ボーは子どものまま中年になってしまった
働いてないだろうし、アパートもクレジットカードもママから与えられた物
初恋の相手までママの支配下に置かれていたとはいえ、「ずっと待ってた」とか言って自分から探しに行くなんて考えもしなかったんだろうな
突然の再会〜ベッドへの誘いに浮かれてたら、……ママが見てる!!! (思春期?)
これもママへの愛情確認テストの一環だったのかな
「正しい選択をしなさい」って言うけど、「ママが望む正しい選択」じゃないとママは怒る

あとは想像だけどボーは生まれた直後に落とされたことで脳に障害を負ったんだろうか
父が監禁されてるのは母が父を子育てという苦しみの元凶だとして罰してるなら納得しやすい
屋根裏の秘密を先に知った双子の兄弟がいなくなったことでボーは余計に不安定になったのかな?
ボートに乗ったあとは、アリーナに辿り着く前に 罪悪感から死を選んでいると思う

過剰な愛を受け、何も判断できないボーを作り上げたのは母なのに、死後も母に裁かれるのか…悲しいね…
それを2階席で傍観するわたしたち

OPクレジットの「MW」は気付かなかったけど確かに見たな…
エンドロール後の「A24」の出し方かっこいい 黒ベースじゃなくてもいいんだ
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