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ボーはおそれているのRiRiのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.7
アリ・アスターの最新作ということで、いろいろ気合を入れて鑑賞してきました。
約3時間の悪夢に次ぐ悪夢。ずーっと嫌な気持ちになる映画でした。それが狙いなんだろうなと思いますが、なかなか凄かったです。

全体的に「純文学みたいな映画だな」という印象。
見る前に読んだあらすじの段階では、実家に帰る壮大な道のりということで、『オデュッセウス』のアリ・アスター仕込みの嫌な気分版みたいなのを想像していたのですが、どちらかというと英雄オデュッセウスを冴えない中年男ブルームに置き換えたジョイスの『ユリシーズ』を読んでるみたいという印象を受けました。
「意識の流れ」の手法で書かれた『ユリシーズ』のように、ボーの中で絶え間なく浮かんでは流れる記憶や思想や感覚や妄想を、現実と混ぜながら描かれている映画なのかもしれないと思いました。

ジャンルとしてはホラーというよりはブラックコメディかなぁ。
面白いとは思いますが、ただ、万人には絶対向かないですね!
また、過去作の『ヘレデタリー/継承』みたいな直接的なホラーを期待すると、ちょっと違う感じになってしまいそうです。
アリ・アスターが無邪気に入れくるグロテスクシーンみたいなのは過去作ほどそんなにないので、視覚的な怖さというのはあまりないかなと思います。
怖いというより、ずーーーーーっと嫌な気分!みたいな映画でした。
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