ねこみみ

ボーはおそれているのねこみみのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

やったー!!ようやく初めてのアリ・アスター!
ホラーが苦手なのでヘレディタリーもミッドサマーも見る勇気が出なくて、今作で初めてアリ・アスターの世界を体験できた!うれしい!

これまでの作品で聞いていた印象と違わず、音と映像の不気味さで惹き込まれる。リアル悪夢。3時間の悪夢。

まず冒頭の出産シーン、暗闇で不穏な音だけに襲われる表現でこれがアリ・アスターか、と、、、、、
これは劇場で観なきゃだめなやつだと瞬時に理解。

あちこちに伏線のようなものが転がりまくってるんだけど、それらが何かに繋がっているようで繋がっていないような、すっきりしない気持ち悪さがずっと続く。

結局あの騒音クレームはなんだったの?とか、鍵は誰に盗まれたの?とか、あの一家の目的は?娘には何が起きてたの?とか、もうなんかよくわからないことだらけなんだけど、それらが特に解決されることなく幕を閉じる。

後半で登場する森の中の劇団、そこから繋がっていく幻覚の世界、その鮮やかで空想のような、それでいて妙に現実的な表現。いつのまにかボーの人生を追体験させられ、この時間はなんだったのかとよくわからないままにおわっていく。

もう本当に全体が混沌としているのだけど、展開の妙と画面の美的センスと役者の表現力で飽きさせない。
進めば進むほどに「何を見せられているんだ…?」という気持ちが加速するが、早く次の展開が見たくて仕方ない。

そして混沌の中でだんだんと、「極論、個人の主観ってこういうことなんじゃないか」「自分の想像が笑われるものではないとどうして言えるのか」「これを笑う人間は本当にこの混沌のどこか一欠片でも思い当たる節はないのか」という気持ちになってくる。
この主観かつ自分にしか見えていない世界の恐ろしい感覚、アンソニー・ホプキンスの「ファーザー」を思い出したよ。

この混沌を1本の映画にこの完成度で詰め込むセンス、これはすんごいわ、、、、、
映画に何を求めているかにもよるのだろうけど、私は映画として本当にクオリティ高く見応えのある素晴らしい作品だと思った。
いやー、なんとも気持ち悪かった。笑

あまりの理解の及ばなさにパンフレットを買おうかなとみてみたところ、デザインも素晴らしい!
これから読むので、もう少し何かが「わかる」ことを期待しますw


追記
パンフレット読んだけど、「mw」のロゴ…終盤で出てきた時、あれ、これどこで出てきたっけ??どっかでみたぞ??と思ってたのだけど、まさかの本編前の配給・製作会社のなかにあったらしい。なんだこれすごすぎる、、、、、、、全てが母に支配されていた我々とボーの3時間…
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