三日連続ピザ

ボーはおそれているの三日連続ピザのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.5
最悪なことが次々と起こる地獄めぐり。
ホアキン演じるボウは不安症。苦手な母親に会いに行く予定だったが、家の鍵を盗まれてしまい、そこから歯車が狂い始める。

ヘレディタリー、ミッドサマー、そして本作それぞれの主人公が家族という地獄をめぐる。

これを機にアリアスターのインタビューを何本か読み返してみた。
作中では母親の毒親ぷりが強調されていたが、インタビューを読んでいると、その母親もまた家族という檻に閉じ込められた身だと分かる。
ボウもそうだが、家族からの一方的な愛によって苦しんでいるのか、はたまた自身の考える家族像に縛られてるから苦しいのか。それをコメディにするってアリアスターは狂っている(褒め)

過去のインタビューでアリアスターが、生まれてすぐ唯一全面的に信じることができる母親に裏切られることが原初的な恐怖だと語っていた。
ボウは本作で、強盗に遭う不安、薬の副作用で苦しむ不安、セックスへの不安など、人が日常で出会うあらゆる不安と対峙する。その根底には、母親から愛されなかったらという不安がある。また母親は、ボウから愛されていないと嘆き死まで偽装する。お互いの不安で繋ぎ止められた関係性は不幸しか生まない。日常であればそれは避けるだろう。ただ、その地獄を味わえるのがアリアスター作品。なんて恐ろしいんだ。

(母親の住む豪邸は、支柱と支柱の間をガラス張りになっていて、一見オープンだが、檻のようにも見える。)

「僕はなんとなく自分の居場所がないと感じている。家庭といえば無条件の愛や、ありのままの自分を受け入れてくれる場所というストーリーがさんざん語り継がれてきたけれど、その温かく美しい場所は、表裏一体で義務の空間であり、逃れられない場所。僕たちを誘う空間であると同時に、檻となる空間でもあるんだ」
フィガロに掲載 https://madamefigaro.jp/series/interview/240212-creator-01.html

「ボーは母親のせいだと思っているし、母親はボーのせいだと思っていて、その負のスパイラルを描いたコメディだと僕自身は捉えています。」
映画ナタリー掲載の対談より 
https://natalie.mu/eiga/pp/beauisafraid
三日連続ピザ

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