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ボーはおそれているのペインのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
2.5
監督自身の子供の頃の体験や個人的な痛み、はらわたをさらすような作品は個人的に好みなものも多いが、それも映画としてきっちりと昇華されていてこそ。

本作を観ていて、監督も大好きな名作『反撥』や、中年おじさんの右往左往を不条理に描く大傑作『脳内ニューヨーク』、マーティン・スコセッシの傑作『アフター・アワーズ』のような作品も連想したが、これらの作品と比べてしまうと完成度では下位互換といった感は否めない。

ただ、まさしく“不安が不安”といった序盤のどこへ連れていかれるかわからない、ハイパーな描写のつるべ打ちにはクラっクラさせられ興奮したし、マライア・キャリー『オールウェイズ・ビー・マイ・ベイビー』をバックに幼なじみとのベッドシーンも笑えた🤣←※マライア・キャリーからこのシーンでの使用許可済み。ただ、確信犯的な部分もあるにせよ、流石に後半の弛緩っぷりは許容し難い。やはり私は『The Strange Thing About The Johnsons』(処女短編)から『ヘレディタリー/継承』までの端的且つ鋭利さにより惹かれる⬅️

過剰な自意識に閉じこもる悲劇を自嘲的に描くコメディという意味では、やはり『脳内ニューヨーク』や『もう終わりにしよう。』のチャーリー・カウフマン的(※スパイク・ジョーンズの一連の映画、PVにも通ずる)で、特に第一部のセットの作り込みなんかはかなり『脳内ニューヨーク』みがあった(※ライティングや歪な親子間の感じはアスターも大好きツァイ・ミンリャンの傑作『河』も彷彿)。実際に『脳内ニューヨーク』の主人公(フィリップ・シーモア・ホフマン)と本作のホアキン・フェニックス演じる主人公(奇しくも『ザ・マスター』コンビ❗)にはけっこう通底するものがあると思う。

P.S.
『ヘレディタリー』に続いて、今回も『エクソシスト3』の天井◯◯やってましたね(笑)
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