椎良

ボーはおそれているの椎良のレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.9
『山をも動かす…』

〈突然母が怪死したとの知らせを受けた、不安障害持ちのボー。しかし理不尽な運命に翻弄され、母のもとへ一向にたどり着けないのである。
彼が目にするものは、いつしか壮大な旅の果てと化し……〉

ホアキン・フェニックス主演×アリ・アスター監督作。
理不尽の権化。3時間 ひたすら困惑に困惑を重ね、口はやがてあんぐりに。監督のやりたい放題と言うべき不条理劇が誕生した。

ホアキン・フェニックスにあらゆるトラブルを浴びせ、観客もろともドン底気分へと追い込む。監督は人との関係性を生物学的にでも定義しているのだろうか…並々ならぬレベルの俯瞰に基づいたストーリーには毎回寒気を覚えている。
観る前は妄想世界に持ち込んで一体全体あやふやにするのでは、という一抹の危惧があった。しかし我らがアリ・アスター、そんな真似は致しません!とばかりに、現実かあるいは妄想かの考察を放棄させるまでのプロットを我々に突っ込む………

大衆受けするようなスタンダードホラー要素が取っ払われており、その上映時間の長さも相まって"挑戦状"という謳い文句はふさわしいものに思えた。凄く…疲れる。
森演劇パートや一部会話のテンポなどイマイチな部分はあったが、有毒な人間関係というテーマを洒落にならないブラックジョークに混ぜ込む彼らしさがバリバリに健在。

予測不可能の最悪妄執ラッシュ!アリ・アスター世界を楽しむなら必見!!
椎良

椎良