上ハラ

ボーはおそれているの上ハラのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.7
消費されてしまいそうな映画だが安易に消費しては行けない説教映画。

この映画の観客はホラーコメディを期待してお化け屋敷感覚で来ていると思う。
おそれて、奇行に走る人間は滑稽だし、SNSで話題になりそうなショッキングなシーンも満載。こりゃ怖くて笑える。センセーショナルな感想文はきっとバズる。

しかし、ボーはおそれている。
情報量の多すぎる世界は情報の取捨選択が苦手な発達障害かもしれないし、あまりにも現実離れした世界や音楽を聴いていないのに音量を下げろと言われるのは統合失調症や認知症の様な気がする。
(背景に少し映った発達障害を治療する薬?)
そんな主人公の行動を面白おかしく観ていいのだろうか?
ミッドサマーも異文化の接触だったので、観客と観客と違う世界を感じている人との関係という点が共通している。

映画館に夢を悪夢を期待して観に行った観客に最後は目をそらしたくなるボーの性格……というより観客にお前は偽善者だと突き付けてくるシークエンスは夢の娯楽として終わらせないぞ、という意思を感じた。
夢を観に来た観客に現実を突きつける。

ただ説教臭くすると流行らないし映画としての強度も落ちるので娯楽性で覆っているのだと思う。そこに意識が向いてしまいそうになるが、隠されたテーマを見つけてあげる必要がある。

まとめると、ミッドサマーとボーは共通するテーマがあって自分とは違う世界を持っている人の事を安易に恐れたり面白がってはいけないんじゃないかという……解釈……
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