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ボーはおそれているのクリームのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.9
難解との噂だったので、覚悟をして観賞。やっぱり難しかった(笑)。ボーが脅迫性障害なのかな?と思いながら、ずっとボー目線で進む悪夢。色んな事が起きるので楽しいけど、意図が解らない。最後にぼんやり見えて来て、考察で確認。成る程、私には持ち合わせていない感覚なので、ピンと来なかったのだ。「オオカミの家」の監督がアニメパートを担当していて、途中で急にアートな感じになるのは、斬新だったし、ワクワクしました。考察好きとしては、嫌いじゃなかったです。

冒頭からラストまで、最悪な事態が更新されて行きます。薬を飲んだら水がない。旅行鞄と家の鍵が盗まれ、母は突然の亡くなったと言う。部屋はイカれたパリピに占拠された。そして、トラックに轢かれて…と次々起こる不幸に翻弄される主人公のボー。それでも母の葬儀の為に家路を急ぐのですが…。



ネタバレ↓



途中、車でボーを轢いたグレースとロジャー夫妻の家で過ごし、娘トニに部屋の壁にペンキを塗るよう言われたボーが、それを断ると彼女はペンキを飲んで自殺。ボーが殺したと思われ、追われます。
森で旅回りの劇団に出会い、彼らの舞台に引き込まれ、自分が主人公になった様な妄想に浸ります。
ヒッチハイクで母の家に着きますが、葬儀は終わっていて、棺には首のない遺体があり、ボーが昼寝していると昔、クルーズ旅行で出会い、恋に落ちたエレインが現れます。
2人は早速セックスします。ボーは絶頂に達すると心臓発作で死ぬと言われてましたが死なず、エレインが死んでしまいます。そこに死んだはずのモナが現れ、母の死から日が経ってないのに母のベッドでセックスするとは何事かとボーに怒りをぶつけます。
彼女はボーが帰ってくるか試すため、自分の死を偽装していました。頭の無い遺体は、お手伝いさんの物で、大金を見返りに命を捧げたのでした。
モナは、父の事を知りたいと言うボーを屋根裏部屋に閉じ込めます。そこにはボーの双子の弟と、巨大なペニスの形をした化物がいて、それがボーの父だと言うのです。 ショックで屋根裏から転げ落ちたボーは、とうとうモナを締め殺します。
屋敷からボートで逃げたボー。洞窟に入るとボートが故障。すると突然、ライトアップされ、大勢の観客が取り囲むなか、裁判が始まります。ボーが母に行った罪が映し出され、突然爆発。ボートが転覆するのでした。
モナはボーから自分に返ってくる愛情が充分でないと怒り、彼を憎んでさえいた。そして、支配しきれないボーを許せ無かった。ボーも母を疎ましく思っていたと思いますが…。

全ては、母が仕組んだもので、母が亡くなったと聞き、いかに早く帰って来るか?母への忠誠心はあるのか?と言った事のテストでした。モナにとって息子への愛は無償ではなく、自分と同じ以上の愛が欲しかった。自分に忠実でなければ、許せ無かった。
私は母の愛は無償だと思っていたし、過保護で過干渉の母が子供を憎むと言う考えには至らなかったので、ここが解りませんでした。
ボーの精神的に不安定で脅迫性障害やADHD等の症状を抱えながら、見ている世界が興味深かったです。あんな風に見えているなら確かに恐怖だと思いました。
「ミッドサマー」や「ヘレデタリー」とは違った恐怖。母の狂気やボーの見る世界の恐怖が描かれていたのだと理解しました。考察が楽しかったので、そこそこ楽しめたけど、前出2作品の方が好みではありました。まだまだ考察出来てない部分があると思います。
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