ボーはおそれているのムビ太郎のネタバレレビュー・内容・結末

愛の危うさ。悲劇的なまでの一方通行。

恐れているものが何なのか、まずその映画のタイトルから興味をそそられる。さて、ボーは何に恐れていたのか？
一回観ただけで、まだまだふわっとしているけど、子供の頃から従順に従って来た、女神のような存在の母親を憎む自分（ボー）なんじゃないかって僕は思っている。母親自身っていう考えでもいいのかもしれないけれども。

ボー自身ずーっと母親1人の思想、考えに縛られて育ち、異常なまでの強い愛を受けて来た。父親の真実は知れず、恋愛による母からの離脱も断じて許されない。強い愛はやはり強力な縛りを生み出す。冒頭のカウンセリングのシーンからも「母親が死ぬことを望む」自分は、「それを望まない」自分と共存することがわかる。その望まない自分を作り出さなければボーを取り囲む世界は上手く回らないから、言い訳をする。それによって死を望む自分を殺す。これは屋根裏に閉じ込められるもう1人の自分を夢の中で見ることがメタファーになっていると思う。殺し続けた本当の自分は消えずに増大し続け、父親の真実、そのための私の嘘だという脅迫を母親から受け、最後には母親に手を下してしまう。

最後裁判みたいだったけど、たぶん本当にそうで、ボーは処刑されてしまったんだろうね。なんて残酷な終わり方なんだろう。今の僕ではボーに罪は無いって思ってしまう。これ自分が親だとまた違う見方になるのかな。今の自分ではどうしてもボーが偏った母親の愛によって精神がやられて、そのせいで…って思ってしまうんだよな。

まだまだ不明点が多過ぎてまたもう一回観なきゃ行けないって感じる。アリアスターにうまいこと転がされてる感じがする。嫌いじゃない。