慢性眼精疲労でおます

ボーはおそれているの慢性眼精疲労でおますのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
2.8
内容は、Beauがerectum ejaculatum! (<-たぶん原文ママ)する話。と見せかけて。ボーの感じる『おそれ』は当たっている、なぜなら、、、というもので、おおよその筋書きに不満はないけど時間配分が好みに合わなかった。

僕は家庭環境がボーと割と似ていたので、母と息子の親子関係にはこういう問題があって、、という設定がそのまましっくりきた。けど、人によっては何か別の関係性を当てはめてしっくりさせるのだろうか?

ゲットー(に見える街)から脱出(?)するまでの第一幕は面白い。まだアリ・アスターが特に力説するべき事柄もないから、ただボーと彼の置かれた状況だけを説明すれば済んだ。面白おかしく。そこはとてもよかった。

あとは時間が進むにつれて少しずつ冗長になって展開がダレた印象。最初の気絶以降、愛しのEと再会するまで(体感90分ぐらい?)の間はほとんどクスリとも笑えなかったような。

もっと観客を信頼してもっともっと省略してくれて全然構わない。本人は「上手く説明できてるか、、、できてる!」という心理で見返して満足したんだろうけどこちらからすると皆まで言うでない感じ。

で結局アリは何がしたかったのか。

映像では、まーた頭を割ったりそして頭を割ったりしたかったんだろうか。あとアニメか。

そういえば、多くの映画と同様に、この作品もほとんどの動線が水平方向に収まる。そんななかでここぞっていうときに垂直方向から仕掛けると、画面にも観客心理にも動きが出るはず。それを意識してやってるんだろうなと思った。彼はだいたい上から。

脚本では、シンプルにこの種の母親(または、母親一般が持つこの種の側面)に対する不満を、ある側面から分析することを経て解消したかったのかもしれない。

それだけにしては母親が全能で息子が無能なデフォルメが極端すぎる。なので自分のパーソナルな問題だけではなくて、まだ外に接点を持たない年齢の子供がいるご家庭に対してパブリックに警鐘を鳴らしたりエールを送る意図もあるんだろう。

ひょっとするとそれに加えて、人心掌握や金儲けが上手くてもスキャンダルも多くて人としてはどうなのか?みたいな政財界人の批判も空気中に混ざっていた気もするけど、それは自然に滲み出ちゃった程度のもの。

ひいては、マネーのチカラで何やってもいいの?という資本主義のあり方への問題提起も、それがいま直面する社会問題とは切り離せないものとして行われていたかもしれないけど、定かではない。

今後に期待したい。