このレビューはネタバレを含みます
ボーはおそれている、タイトルの通りずっとボーはおそれていた、自分に対する加害、執着、愛情、優しさ、全部に怖がっていた。
最初は統合失調症の視点だと思っていたけれど、どうなのだろうか。母親からの執着がとにかくリアルだった。「わたしはこれだけ苦労をしてきた。愛情を注いできた。十分尽くした。何故お前は期待に応えない。」ボーも自覚があるから「それに応えられない自分が至らないのに母親を憎むのはお門違いだ」とずっと罪悪感を抱えている。
クライマックスのあたりでは、いままでボーが何かしらの精神疾患を抱えている、という受け取り方をしてしまっていたが、本当にボーが怖いものそのものがずっと描かれていたんだ、とおもった。
こわい。こわいけどどうしていいかわからない。ママが助けてくれる。ママはいつも正しい。そんなママを憎んでしまう自分は最低だ。ずっとそんな気持ちのまま、少年時代から中年になるまでのボーの成長の描写はひとつもない。ボーはおそれたまま後悔したまま、大人になってしまった。救いがない。こんなことなら生まれるんじゃなかった、そんなようなメッセージなのかな、という受け取り方をするラストだった。