Thorta

ボーはおそれているのThortaのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
4.0
『ミッドサマー』の悪夢から5年ぶりのアリ・アスターの新作。怪死した母親の元への帰省かと思いきや、観客をとんでもない所へ導いていく、アリ・アスターの扁桃体を巡る壮大な旅。

 3時間という長尺ながら飽きずに楽しく見れた。監督の映画にしては4幕構成にまとまっており、それぞれのシークエンスのクオリティーが高い。映画全体を見れば、4つの映画を一本にまとめたようで、帰省という本筋があれど難解なストーリーだったが、5年間アリ・アスターの映像を待ち続けたファンにとってはもはやご褒美のようなもの。

 アリ・アスター作品のメタファーや意味などが「分かる」という所が重要視されがちだが、ボウが持つ不安が「分かる」かどうかが大事だと思う。鏡に映った自分に「あなたは誰?」と問いかけるような不安、親に意図的に秘密にしている何かがある不安、そんな不安は小学生時代に捨てそうなものだが、それが頭の中で溜まり続けたボウにアリ・アスターが地獄を見せていく。

 観客は人体実験の観察者であるため、鑑賞前後の変化やどう感じたかなどほぼ求められていない。アリ・アスターの映像が好きな人か不安性の人以外は見ても見なくてもって感じかな。
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