このレビューはネタバレを含みます
壮大な悪夢。David Lynch監督の『マルホランド・ドライブ』を思い出した。観客はボーの悪夢を追体験させられる。
序盤から中盤の不幸に次ぐ不幸、不条理の連続は息をつかせぬ展開で見ているこちらの心臓が持たなくなりそうだった。森に入ってから少しおちつくも、終盤の母親との対峙〜断罪までも凄まじい。なぜそうまでしてボーは裁かれないといけなかったのか。
水と母性がテーマの本作。主人公のボー(Beau)はフランス語で美しい、ハンサムの意味だが、そこにはeau (水)も含まれる。彼は結果、水に還るしかなかったのか。
『ヘレディタリー』、『ミッドサマー』ほど構成が美しくまとまっているわけではない本作だが、アリ・アスターの才能は健在。次回作も楽しみに待つ!