宇居香

ボーはおそれているの宇居香のネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

本国で興行不振だったのが理解できないくらい面白かった 今まで観てきた3時間超えの映画で一番退屈しなかったかもしれない

あらゆる悪夢が現実になる中で主体性を奪われても生きていかなきゃいけない絶望と希望(絶望が9割) 縋ろうとした宗教にも裏切られて自分の物語を語ろうとしても簡単に鬱に負けてしまう話

最後のシーンは取ってつけたような終わり方だし話として納得はいかないし要らなくね?金返せ!となるかもだけど、いくら力強く自分の自由な人生を操縦しようとしても、悪化した精神状態においては簡単に袋小路に迷い込み、ほんの少しの内省によってあっという間に転覆してしまうほど自己は脆いものであったという描き方は心象風景としてはすごくリアルに感じられた。

クルーズ船中の溺死体は将来の自分自身なのだろうと思わずにいられなかった。

ホアキンフェニックスってあんなに澄んだ清らかな瞳をしているのにどうしてこんなにもダメな(自分の本音を言うことができない)オタク男性の役が上手いんだろう…

インナーマインド大暴れの内容なのにちょっとしたところに現実的なシーンを挟んでそれっぽい話のように繋いで引き込むのが上手い。ブラックユーモアも好みだった。不安に応える現実、フリに応えるオチ。

ユダヤ教と関係する部分については復習が必要。

パンフがとてもかわいかった。
宇居香

宇居香