Fredisius

ボーはおそれているのFredisiusのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

アリアスター×ホアキン・フェニックスでA24作品……!!

絶対集中して逃げられない状況で見る必要があるでしょ!!と思い、友人と鑑賞後語り合う前提で行ってきました。

まず、文章としてまとめるのが非常に難しい作品だと思います。

解釈が人によってすごく別れる作品だと思うので私の解釈をできるだけ端的にまとめようと思います。

これはただただ流されるように生きていたボーが母親から離れて自立した気でいるものの、全て母親の保護下、管理下(カード母親が支払い▶︎使えなくなるのが証拠、住んでいるアパートが母親の管理不動産、心理カウンセラーが母親とグル、引いた家族の夫は母親の従業員で、カメラで監視されていたなど)に結局あって、母親に対して反旗を翻したと思われ、否が応でも状況的に自立しなければいけなくなっていく……

でも結局手のひらの上で転がされ、その掌の上から飛び降りようとするとボーが気絶して何も変わらずただただ時が過ぎていくだけと言った感じ。



以下ポイントポイントの解釈ですが、


最初のまず水の流れ。全体としてボーは水で毎回死を意識しているんですよね。最終的には水で死にますが、最初のシーンが生まれる時の母体の羊水の中。きっとこの共通性はなにか意識されていると思います。

あとは帰り道のバザールのようなシーンは、今後の全ての流れを示唆していたようで、カメラでの録画映像を早送りして見れたように、ボーの未来は全て決められていたといったホラー的な解釈もできたりしますよね。

ボーをひいて助けてくれた、あの家族構造はまたすごく異様。
夫は母親のグルでしたが、妻はそうではなかったと思います。だからカメラのことを教えてくれたり、自分を責めないでといったアドバイスをしてくれたのかなと。食事のシーンでもボーを気遣う言葉。
死んだ息子にボーを重ね、娘があそこまで腐ってしまうほどに母親の頭も相当おかしくなっていたと思います。
普通に息子の部屋にボーを寝かせろよとか思いましたわwww

あとボーに関してですが、ヒッチハイクをしたり、誰かに助けを求めたり多少は行動するものの、結局あそこまで必死で母親の家を目指すのは、彼女の死という究極の嘘から。母親の手のひらの上ですよね。

棺の上でただボーッと座っている絵がありましたが、あそこで実際ボーが何を考えているのかは、はっきりとは分からずこれも人によって解釈が変わると思います。

あのセックスのシーンがちょっとよく分かりませんでしたが、結局あれも母親に仕組まれ試されていたのですかね……

ボーの視点で見れば母親に刷り込まれたセックス=死という呪縛(ずっと母親だけのものの清らかな息子(キスだけでも母親すごく嫌がってましたし))を逃れたあの瞬間はボーにとってまた自立の一つだったのでしょうが、そうはならなかったという皮肉。

あと、母親が登場の後はファンタジー要素も強くなり、ボーの妄想もだいぶ大きいのではないかと……あの怪物もよく分かりませんし、ボーを追いかけてきた殺し屋(兵士?戦士?)があいつを倒しにかかるのが……屋根裏にいた怪物や謎の男はボー自身(あるいは息子になれなかった反抗心)とか双子ないし、怪物はなにかの象徴だとは思うんですけどね……

まぁアリアスターの作品は考えると訳分からなくなるのでこれくらいにしておきますがw

で結局母親の抑圧、支配に対し、さすがのボーも怒りを露わにし、とうとう本当の意味で開放されるための行動(母親を殺す)をするわけですが、結局ボートに乗り、外に出ていくも、最後のシーンのように自分を自分で捌き始め、最後のあの諦めたような表情から自殺を決め沈むのですが、結局その苦しみも素直に受け入れられず、ボートの下でもがいた演出があったのではないでしょうか?
あの裁判のようなシーンに登場する母親の首にはボーの指の跡が残っていたりもしたので……

大人になりきれない少しおかしなおじさんが、否が応でも自立せねばならない状況になり、何かをしようとするも何も出来ず最後は自分を責め、自分の命をたった……といった解釈を私はしています。

長い3時間では無いですが、内容がだいぶ濃いので、3時間しっかり体感する感じでした。

その点、アリアスターも観客への拷問のつもりで……とかコメントしているので、見たあとは疲れで頭が痛くなりました(笑)

でもアリアスター作品の中ではいちばん見やすかったなという印象です。
Fredisius

Fredisius