なお

ボーはおそれているのなおのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』のアリ・アスターと数々の名(迷)作を生み出してきたA24がまたもタッグを組んでしまった。

セラピストの診断を受けながら息苦しい日々を送る中年男性のボーは、ある日訪れた母の怪死をきっかけに、摩訶不思議な体験をすることになる…

✏️監督、気が変になりそうです
アリ・アスターとA24が手をガッチリ組んだらまあこうなるよな…
という、なんとも奇妙奇天烈、自分の単純なオツムでは到底この映画が言わんとする真理や真相を推し量ることなど不可能だろう。

でもやっぱり、この「たまに食べるとうまいよね〜」という感じがクセになる。

100%意味が分からん映画かというと、決してそうではない。
本作は、母の怪死の真相を知るべく実家に戻ろうとするボーの行く手を阻む数々の障害や事件を乗り越えていくロードムービーであり、その道程の最後にボーは驚くべき真実にたどり着くことになる。

上映時間は長めの部類に入る約3時間というものだが、現実ともボーの妄想とも区別がつかない不思議な世界観は、やはり私たち観客の心をつかんで離さないし、「A24新作公開するんだ。ならひとまず一回は見てみようかな」と思わせる妙な魅力がある。

実はボーは序盤トラックに轢かれた瞬間死亡していて、後の展開は全て植物人間となったボーの妄想の産物、もしくは死後の世界の出来事である───みたいな裏設定があってもたぶん驚かないと思う。

主演のホアキン・フェニックス。
本作から約1年前に公開された『カモン カモン』ではハートフルな世界観を演出した彼が本作では文字通り体を張った大活躍と怪演を見せてくれた。
『カモン カモン』で味わったホッコリ感を返してくれ。

「面白いの?」と聞かれたらここまで回答に窮する作品もないだろう。
ちょっとアレな薬でもキメてトリップしている時にしか思いつかないだろう珍妙な演出や世界観、そしてこちらの予想を裏切るストーリー構成。

これが良いことか悪いことなのか分からないけれど、この「妙な雰囲気」を味わいたいがために自分はA24の作品を見続けている。

☑️まとめ
途中若干テンポが悪く感じる場面(特にボーが森に迷い込んだ後の劇団員たちと合流した後の一連のシーンなど)はあれど、3時間という長丁場をそれほど苦痛に感じさせない作品と雰囲気づくりはA24にしか成せない妙技。

「ボーはおそれている」、原題は「Beau Is Afraid」。
ボーはいったい何に恐れを抱いていたのだろう?

何をやってもうまくいかない、うだつの上がらない日々に?
あまりに治安の悪い街で営む、今の暮らしに?
自分を生んでくれた母に対する罪悪感に?

A24作品鑑賞後恒例、考察サイトへのダイブを開始しようと思います。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★★☆
😲驚 き:★★★★☆
🥲感 動:★★★☆☆
📖物 語:★★★☆☆
🏃‍♂️テンポ:★★★★☆

🎬2024年鑑賞数:16(6)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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