Monisan

ボーはおそれているのMonisanのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

観た。

久しぶりに映画が始まる前に緊張した。
アリ・アスターだし、ホアキン・フェニックスだし、179分あるのに、評判いまいちっぽいし…。

でも観て良かった。これ劇場で観ないと一気見出来ない奴かも。おかげで脳がパンパンで、とてつもなく疲れているけど。

冒頭の産み落とされた瞬間に落とされた件。不穏で良い。セラピストも変だし、絶対にこの薬は水と飲まなきゃいけない、念押し。
そこからのボーの住んでいるアパート周辺のシーンはすごい好き!上裸でステップ踏み続ける男とか、全身タトゥーとか、ほぼゾンビ街で。
夢っぽいなぁと思ったのはやりたい事が思うように出来ない感じかな。
母の誕生日に向かうチケット、荷物、鍵が盗まれなす術が無くなり。薬の為に水飲まなきゃなのに、ペットボトルは空で水道も出ない。向かいの店で買おうとしてもカードは使えず、小銭も足りない。こういう普通の事が普通に出来ない夢、自分もよく見る。
その間にゾンビの如く、アパートに侵入されちゃうし。何故か303号室に集まってパーティー。

風呂場の天井から男が降ってきての揉み合いから、ニュースのフリで出てきたフルチン連続殺人鬼に遭遇して轢かれるまでの一連は笑った。

ここで場面変わり、轢いてしまったという夫婦に手当てをしてもらい、足止めをくらう。
アジアンカルチャー好きの娘の部屋は面白いけど、少し既視感ある変な家族シチュエーション。息子の兵士仲間だった彼は終始奮闘していた。ここで、監視カメラを知らされて巻き戻しどころか早送りも出来、後ほど出てくるシーンか。
ペンキがぶ飲みはショックはあるけど最早この辺から理解は困難。夫婦は息子の変わりにしようとしていたのか。

森を逃げて、今度は旅の劇団に匿われる。観客も巻き込んでお芝居は展開していく、との事。そこからボーも物語に入り込む。
この一連のアニメーションと絡む場面が観ていてしんどかったというか、表現も目新しくは無いし、正直つまらない。

途中出てくる少年のボー、同世代の少女エレインと出会う。自分はセックスをすると死ぬかもという話をし、キスだけする。

セックスをした瞬間に死んでしまったという父親、ボーもそうなる。おじいさんのボーが問われる。では、僕ら3人の息子は?辻褄なんてどうでも良くなる。
父親っぽい人に出会えるが、例の元兵士がやってきて爆破される。

森から出るとあっさりヒッチハイクして母の家へと。そこでは葬儀の片付けと、式の様子がビデオで流される。

考察を少し読んだ。
そうか全体的に幼稚な妄想なんだね。夢っぽいというのもあるけど、おそれているものが子どもの発想だな。
家への帰り道が怖いとか、セックスしないのに息子がいる矛盾とか。少年ボーの恐れの具現化したものを観させられていたのかも。ディテールの辻褄なんて合うわけ無い。

なので大人になったエレインとのセックスもコンドームの付け方に不安覚えたりするのか。当然、母親は生きており、おどつくボーは屋根裏の真実を見る事に。
屋根裏は「ヘレディタリー」でも描かれたけど、監督のトラウマなのかもな。そこで衝撃的な男根モンスターと対峙。このモンスターの稚拙さに、ここまで長時間観てきた観客としては心が折れちゃうよね。せっかく一生懸命観てきたのに…何よこれ感。あれが父親よ、とか言われちゃうし。
でも、これも少年ボウの妄想だとすると合点がいく。

最後、ボートに乗って逃げ出したと思いきや、ドームのような子宮のような劇場へ。そこでボウの行った数々の裏切りを母親達に糾弾され、ボートはひっくり返され羊水に沈み、息絶えるボウ。なるほど。
そのまま環境音だけのエンドロール格好良い。

考察でしっくりときたけど、いかんせん長いのよね。

アリ・アスター、脚本・監督
Monisan

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