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ボーはおそれているのmitzのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.9
アリ・アスター監督によるA24史上最大予算で製作された(あえてカテゴライズするならば)ダークコメディ。
急逝した母親に会いに行く主人公 ボー の里帰りが本筋です。物語は主に4部構成、アクシデントによりボーが気絶をすると次の章に進みます。極度の偏執病を患うボーに降りかかる現実と妄想の区別がつかないシュールで奇禍的な出来事が永遠と続いていきます。
母性的支配による精神的な去勢を受けた上に常にアンビバレントな心理の抑圧に苛まれ、主体的な意志決定すらできない中年男性の旅路。そして3時間という長編映画であるにも関わらず、ボーの人間的な成長が一切描かれないままメタな最終審判のラストシーンを迎えます。作中のオーディエンス同様、こちら側も「なんだったんだ?」という残尿感の強い悪性エンターテイメントです。感動なし、教訓なし。ただおもしろいだけ。

A24をネクストステージに引き上げた功労者アリ・アスターが好き勝手自由に描いた創作活動として「3本目」らしい作品です。

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