寺嶋文

ボーはおそれているの寺嶋文のレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.5
2024年3月 映画館にて鑑賞

「ミッドサマー」「ヘレディタリー/継承」の監督の新作ということで、鑑賞前から戦々恐々で、みなさまの評判を確認し遅ればせながら観にいきました(笑)

前2作比べると、明るいタッチで笑える部分もあって面白かったなという第一印象です。
しかしながら実は最も身近で怖いテーマではなかったかと、後でひとりで勝手に考えては慄き、後味を楽しんでいます。

これまでは宗教や風習などの狂気だったのに対し、今回の狂気は「ママ」(あえてママ、母性じゃなく)だったからです。

産まれ落ちた瞬間から「落としたでしょ!」と医療従事者に食ってかかるところから始まり、少年時代から独立した現在に至るまで財力をも使って息子をコントロールする様は、愛情とは究極の狂気であると言っているようです。

よろよろと小さなボートで漕ぎ出し吸い込まれていく様は、大きな卵子に吸込まれていく精子のようで、またオープニングに戻っていくかのようでした。
寺嶋文

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