サマータイムブルース

ボーはおそれているのサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
5.0
メチャクチャ面白い!!生涯ベストレベル!!
全編を通してブラック・ジョークとシュールな笑いに包まれていました

30歳過ぎて童貞だと魔法使いになれるらしい←ホント?

あらすじ
ボーが母親の家を訪ねるまでの大冒険が描かれます

現実なのか、妄想なのか
初めはボーが統合失調症で、患者側から見た世界を映し出したものなのかなと思って見ていたけど、どうやらそんな単純な問題ではなさそうです
さすがアリ・アスター監督、一癖もニ癖も捻られてました

映画は主に4つのパートに分けることが出来ます
1つ目がボーの住む街やアパートでの出来事
2つ目はボーをクルマで轢いてしまったグレースとその夫で外科医のロジャーの自宅での出来事
3つ目がそこから逃げ出した先、森の移動劇団“森の孤児”での出来事
4つ目がようやく辿り着いた母親の邸宅での出来事
面白いのが各出来事の区切りは必ずボーが何かにぶつかって気絶して終わるってとこ(笑)

1つ目のパートで、出先から戻ったボーが辺りを警戒して猛ダッシュでアパートの扉まで戻ると、謎の全身タトゥー男が追走して来ます
あと一歩の所でかわして扉を閉めるボー
この時点でコレが普通の映画でないことがわかります

ボーの住む街の猥雑感が凄い
全裸で喚いて暴れ回る男
腐乱死体が転がっていても誰も気にしない
スキあらばボーのアパートに侵入しようとする全身タトゥー男
ゴッサム・シティも真っ青?

それと、風呂場の天井にいた謎の男!
ボーのふぐりがちらっと写ってデカっ!!と思ったけど、後から外科医のロジャーが君のは病気だろうと言っていたので、作り物だったのかな!?(笑)
場内、シーンとした中で1人クスクス笑ってしまいました
ここ笑うとこでいいよね?

2つ目のグレースの家で、テレビのチャンネル78を見るように言われるボー
すると、画面に今の自分の姿が映し出されます
何者かにずっと盗撮されていたのです
面白いのが、巻き戻しボタンを押すと過去に遡り、早送りボタンを押す何とと未来が映し出される所

3つ目、このパートが1番好き
森の移動劇団“森の孤児”に迷い込んだボーは今から始まる演劇を鑑賞します
演劇は参加型で見てる方も衣装を着ように促されます←ここ重要
劇中劇が始まります
初めは普通に劇団員が演じているのですが、途中からボーが主役に取って変わり、ボーの妄想の世界に入っていきます

ここではボーは3人の息子たちの父親であり、離れ離れになった息子たちを探しています
するとある演劇を目にします
劇中劇のさらに劇中劇?です
そこでは3人の青年が生き別れた父親を探していました
ボーはそれが自分であることに気づいて、それは私だ!!と名乗り出ます
親子は感動の再会を果たします
息子「他に家族はいないの?」
ボー「いるよ、モナおばあちゃん」
息子「じゃあおじいちゃんは?」
ボー「いたけど、うちはセックスすると男は死んでしまう家系でおじいちゃんも死んでしまったんだよ、だから私は今まで経験したことがないんだ」
息子「じゃあ、僕たちはどうやって生まれたの???」
って、みんなで固まるシーン、メッチャ好き(笑)

ちなみに演劇の中で出て来るアニメーションはアリ・アスター監督が大絶賛していたチリの映画「オオカミの家」と、彼自身がプロデュースした「骨」の監督クリストバル・レオン氏とホアキン・コシーニャ氏によるものです
実写とアニメが融合していて、映像のセンスが素晴らしく良かったです
ここ見るだけでも価値があると思いました

4の母親、モナ・ワッサーマンの邸宅にて
そう、ボーの母親は大会社のCEOでかなり裕福なのです
壁にかかったモナのコラージュ写真、ひとつひとつが小さな社員の写真になっていて、ボーは凝視します
ここがこの映画の最大のポイントで謎解きとなっていました

他にも、いたる所にこの映画のヒントが隠されています
難解、と言うワードをよく目にしますが、あまり深く考えずに、見たまま、聞いたまま楽しめれば良いのではないかと思いました

まあ、極論すると母息子の確執の物語、ということになるのかな

天井裏の彼には触れずにそっとしときます