ケイタカハシ

ボーはおそれているのケイタカハシのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.8
ラスト近くまでは文句なく面白い。男がとにかく様々な酷い目に遭う。酷い目のバリエーションも豊富な上に新奇性がある。バスタブの上に男がいて落ちてくる。薬中と物乞いだらけの町に通り魔が来て逃げてたら轢かれるなどなど。悲惨な目に遭いすぎてホラーの中にコミカルさが生まれてくるところなど自分としては結構新鮮な体験だった。でもなあ〜、どう考えても仕組めそうもない出来事の群れを「実は全て仕組まれていました」というのは物語作りにおける一種の逃げじゃないか?まあそこを真面目に考えるような性質の作品じゃないのかもしれないが。
「ジーキル博士の逢魔が刻」というファミコンゲームがある。ジーキルとは二重人格のあのジキルだ。彼が結婚式に自宅から向かうだけなのになぜか街のあらゆる人も蜂も蜘蛛も鳥も彼に思いっ切り嫌がらせをしてくるゲームだ。最後まで理由の説明はない。その酷い操作性とあまりにもシュールな世界観のために未だに伝説的なクソゲーとして名を刻んでいる。
この映画も俺は「伝説だ」と思えていた。ラストまでは。