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ボーはおそれているのKのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
4.1
☑️19/2/2024 mon シネマイクスピアリ スクリーン15 F9 19:20〜
いつもの席。左右黒帯ビスタ。


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モナ・ワッサーマンは君のお母さん?

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/うわー!良すぎる

/ある時感じた恐怖感、血への嫌悪感、彼の中のどこに溜めておける場所があるんだろう。それか極端に恨みがましいのか笑。全てが実体験ではないにせよ、絡まりに絡まった感情を映像に起こす技術の巧みさよ!

/最近見たエンドロールの中でもかなり良い方のエンドロールだった。『哀れなるものたち』と同等以上に良い。自罰。他罰。

/連綿と続く女系家族の呪い。水への執着。異性への恐怖、それ以前に自らの性器への恐怖。死んだ家、螺旋階段と死のベッド。"男らしく"自立していることへの強い使命感。PTSD。そのつもりはなくとも家族から受ける呪い。居心地が良かった。ずっと見ていたかった。アリアスターの映画にはセラピーの要素があると言われるが、まさにその極地のような映画だった。口から内臓へ細胞へ深く深く溶け込んで染み込んでいくような感覚。"これは僕の話だ"と芝居を見て立ち上がった彼のように、この映画が自分のものだと強く感じる観客も絶対にいるのだろう。私も大事に胸に抱いておきたい映画だったよ。EEAAOよろしく、その痛みが観客の語りになる。ボーの額に刻まれた傷、包帯に染み込んだ水色のペンキ、迷い込んだ森で塗れた泥は彼の体から消え去ることはない。脈絡のないような出来事全てに覚えがあり、その全てが自分を呪う。親から受け継いだ自分の中の暴力性が目を覚ます時が来るんじゃないかと恐怖する瞬間。
語られる痛みのリアリティと、極端に振れたコミカルな表現に伴う自ら生み出したフィクションの境は、曖昧に滲んでいく。


/字幕だとボウなのにタイトルはボーの表記揺れはこれいかに?

/切羽詰まったシーンでのモザイクやっぱ余計すぎるでしょ。レート付けてるんだからそのつもりで無しにしてくれ〜

/確かに映像表現的には『もう終わりにしよう。』がかなり近かったし、監督も結構意識してるんじゃないか?!でも終盤の"父親"の姿のコミック性には『MEN』に近いものがあったよなあ……w どれも本当に良い映画です。

/PTSDとは、兵士のみならずその家族も巻き込んで人生を破壊していく、という説得力がもの凄かった。

/姿を見せない男性--それは一概に全ての父親へ向けたものではないが、姿を表さない父親がいるという事実への--批判も強く感じる。

/この作品、似たようなことをまだセンスが育っていない表現者が実践したとしても決して成功しないんだろうな。アリアスターの超ソリッドなセンス、例えば世界へのセンス--日常や恐れるものの捉え方・皮膚感覚や匂いや光への感じ方、映像のセンス--尽きない表現の幅や演技の捉え方、全てが揃っているからここまでビシッと揃えられた感覚の映画になる。凄すぎる。あとA24の資金力ね!

/本当は6,7時間分くらい映像撮ってたんだろうな〜というのが容易に想像できる……w

/役者としてこんな映画に出られたらもう悔いないよなあ。いいなあ〜〜!

/要因ははっきり描かれずともあるトラウマやインナーチャイルドを抱えた、ある種可愛らしくすらある主人公としてのホアキンフェニックス、かなり確立してきてるしこの作品で締められた感じもする。って実感する度になぜリドスコは『ナポレオン』でそれをやり切れなかったんだろう……?って気持ちが強くなる。自分の中のホアキン像と、彼をそういう味わいの役者として捉える世間の潮流とのズレがあったのかもしれんなあ。

/確かにこの公開規模の作品では、絶対ない、、笑笑 費用回収できないでしょ!どうすんの?ヒュートラ渋谷くらいで2ヶ月くらいやる規模感だよね。でもシネコンのでかいスクリーンで観られるのが本当に嬉しい。

/もしかしたらボーは統合失調だとか、精神疾患、発達障害、もしくはシーヴスと一家の息子のように帰還兵だったりするのかもしれないし、主人公としての語りやキャラクター、パーソナリティの曖昧さが観客の受け取る物語の幅を広げているのをすごく実感する。世界中の多くの当事者に固く抱きしめられる物語であるといいなあ。

/ ↓なるほどと思ったポッドキャスト。
https://open.spotify.com/episode/12PW675OzswYGLbIltqW4O?si=JyL_StmPTMGgUg4VdYckYg
自分は直後はボーの自罰意識ジャーニーとしか捉えなかったけど、ママからの愛情の過不足が水の状態に表れている、というのはなるほど納得した。

/ https://filmaga.filmarks.com/articles/290390/2/
母親にとっての最高のハッピーエンド、なるほどね!


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Good-by,
My Journey,
My Darling
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K

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