ち

ボーはおそれているのちのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
4.1
面白いかっていうと難しいけどめちゃくちゃ好きな映画だった
面白かったというよりも貴重な体験をさせられたという感覚

インタビューで「不安と曖昧さがテーマ」って言ってたのを見たけど、難しいテーマをこんなにも具現化できるものなのかと感動した
今までのホラーやスリラーで感じていたような不安とは一線を画していた
この後どうなってしまうのかと言った先の見えなさがあったり急な展開に対して常に緊張感を感じさせられていた
こんなにも手に汗握る映画は初めてだった。心拍数もずっと早いままで、映画でこんなにドキドキしてしまう自分自身に驚いた

これは映画館で見れて本当に良かったと思う
もし、サブスクで見ていたとしたらどこと繋がってるんだ、これはどういう意味だと感じ何度も巻き戻してしまっていたと思う
モヤモヤしたまま次々と進んでしまうからこそ曖昧さを最大限感じていたと思う
何よりも展開の読めなさが曖昧さに直結していたと思う
このままオチに繋がっていくのかなと思えばそうではいし、何度も何度も予想を裏切られ続けた
常に宙ぶらりんな状態で映画を見ていた気分

振り返って考えてみると主役の能動性の無さ、心配性、他責的な性格が観客に不安さを煽っていたと思う

起承転結がわかりやすく描かれてるのもよかった
ただ少し冒頭のシーンに対して安直さを感じてしまった
映画の内容的にも胎児の時点から映像として残さないといけないのは理解できる、でもあれだけ表現力があるならもっといい表現ができたんじゃないかと思う

ミッドサマーを見てからヘレディタリーを見た時、いい意味で最悪と感じ、この人の作品はもう見たくないと感じた
不思議にもその感覚をもう一度味わいたいと感じるし、今度はこの人の作品が出た時は必ず見ようと思う
こんな異常体験をできる映画を見ないなんて勿体無いとさえ思う
すっかりアリアスターの沼に引き込まれてしまった

考察しがいがあって、一筋縄では理解できない
やっぱりこれこそが映画の醍醐味だと思う、本当に傑作だった
ち