くまくま

映画:フィッシュマンズのくまくまのレビュー・感想・評価

映画:フィッシュマンズ(2021年製作の映画)
3.0
佐藤伸治本人の証言は多くなくて、関係者の話から想像を膨らます事しかできないが、彼自身が持つスター性とその奥にある深い闇を少しだけ感じることができた。煌びやかで少年漫画の主人公みたいな純粋さを放つデビュー時に比べて、「男たちの別れ」の時には言葉を発することさえままならない程ボロボロな姿になっており、思わず涙が出そうになった。最後に流れる「ゆらめきIN THE AIR」はこれまでと違った印象で、自分自身が持っている孤独感に直接響く感じがした。誰よりも自由に音楽の中を泳ぐ印象の彼は実のところ、誰よりも深い悲しみや孤独感に向き合いながら創作を続けていたのではないだろうか。「夕暮れがやってこない」という小さな悲鳴のように繰り返されるワンフレーズが耳にこびりついてずっと離れない。どこかに行きたいけど何処にも行けない気持ちはわかるし、それを繰り返してたら…ってことよね。
個人的にこの映画で1番の衝撃はフィッシュマンズの音楽が詩から作られていた事だと思う。
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