大道幸之丞

映画:フィッシュマンズの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

映画:フィッシュマンズ(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

まず私はフィッシュマンズのファンでもなんでもない。このバンドの名前は聴いたことがあるが、ヤギのような声で歌うボーカルも性に合わずろくに聴いたこともない。

ただ時折彼らの熱烈なファンには出会う。実際彼らは世代的にはスピッツあたりと同じなのだがさしてヒットしたバンドではない。

この映画を観ようと思ったのは『猫は逃げた』に出演した井之脇海がこのバンドのファンと書いてあったから。今の30〜20代前半にコアなファンが多いようだ。

——まず本作を観る前の情報としてボーカルを務めた佐藤伸治は1999年に33才の若さで心不全で亡くなっている。だからバンドを明治学院大学の仲間で組んだところから佐藤が亡くなるまでの軌跡がこの映画の大まかな内容だ。初期のメンバーから関わったスタッフまで丁寧にインタビューされている。

面白いのは、存在する映像やスナップ写真まで、残存するものは全て使っている所で音楽番組の一コマも網羅されている。

ほぼ全てに作詞作曲を手掛ける佐藤にバンドのメンバーはその歌詞の世界個性に惹かれている。バンドのファンでもあるUAもその素晴らしさを語る。

わかりやすく言えばコアなファンに支持されながら息の長い人気を未だ保っている『カルト』とも言えるバンドだ。

監督も当然ファンなのであろう、愛情を込めて、なぜか脱退するメンバーが多かったこのバンドを丁寧に描いている。観終わると彼らの音楽を聴きたくて仕方がなくなる。

佐藤が亡くなるまでにまるでゆったりとしたカウントダウンのようにメンバー抜けて行ってしまうのは寂しさを感じる。

純然たるドキュメンタリーとして面白いので、私のようにファンでなくともオススメできる。