役者による「役者のための」映画。園子温氏によるワークショップが元となった映画で、後半の爆発のさせ方は「カメラを止めるな」を意識しているように思った。
ありとあらゆる人物が現れては消えていく。主人公はおらず、場面に現れた人物を手当たり次第掘り下げていく。
ゴダールの「イメージの本」のように断片的な人物描写が連続するため物語を引っ張る軸がなく、見続けるのが若干辛い。
2時間半の映画のうち、おそらく2時間は出演役者の説明に割いているため、後半の熱狂的なカタルシスに至るまで相当な時間がかかる。
ただ、後半のカタルシスは、園子温節全開で、殴りたいやつは殴り、走りたい奴は走り、叫びたい奴は叫ぶ。
映画撮影の熱狂的なお祭りの一端に触れることができ、気持ちいい。
エキストラにも人生があり、画面いっぱいに出る登場人物の背景を描こうとした苦心の作品。
必然的に演技が上手い設定の役者と下手な設定の役者が出てくるが、上手い人役には憑依しているように演出をつけ、下手な人役にはただ大きな声でわめくように演出していた。
整音を通していないのか、セリフと音楽のバランスが合っておらず、聞こえないところ多数あり。音楽のタイミングもいきなり大きくなったり小さくなったり、音楽それ自体も不自然なところが多かった。
ただ、これだけ関係者を出演させていれば、役者の関係者・友人・知人で、連日劇場は満員になること必定で、まさに「役者のための映画」
これから売れていきそうな役者の卵が多数出演。
小川を監督が走るシーンの真横を少年が一緒に走るのが良い。