takeratta

茜色に焼かれるのtakerattaのネタバレレビュー・内容・結末

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

プライムビデオにて鑑賞。
Rating : R15+


何故、生きるのか?

この人生の原初的な、或いは哲学的な問いが、
人々の交錯する社会の中で、割と世間から蔑まれた職種や、経済的な層で、人は居場所を何とか紡いでる。

ひょんな事で、怒りを押し殺し過ぎてしまうと、
キレたら怖いとかではなく、諦観(ていかん。諦めることを観念すること)が芽生え、
人はきっと対社会的にとか、世間体的に、
仮面をかぶる。

それは、愛想笑いかも知れないし、
人の葬式で、アンタは前世に御先祖を供養しなかったからバチが当たったとか、

ふつー葬儀に来て近所が、ひとんちの弱みに漬け込んで、宗教勧誘したり、
これが、あるんだわ、現実に。

うっかり入信した者を奪還する苦労と言ったら半端ない。

マインドコントロールされてるのか?はたまた、そういう集団に染まらないと、人って単体では無力なのかも知れない。

かと言って愛だとか恋だとかではメシは喰えない訳で。
カネが要る。

それで解決させようとする事もできるが、
永遠の命も、心の平安も、安泰な暮らしも保てない、経済を回す単位でしかないお金。

労働を対価に、経済活動は成り立つが、
幾つかの世界では、それが、不思議と無縁な世界は無くはない。

政治を動かす側や、マスコミの情報量やその出し隠れの調整役や、
はたまた、学校というカースト制の中でのイジメも無縁では無かろう。

ただ、剥き出しに底辺に居ると、怒りも怒りようが無い。
大切なものがあって、それを守るために、怒るとか、闘いや、舌戦、喧嘩になるのかも?!

女とか男とか、それぞれに、社会的ロールは有るには有って、恋もしたいでしょ?
愛したいたいでしょ?

でも上っ面の愛を語らっても、情念が燃えたぎるような、passionateされる、愛はきっと言葉や行為を超えるんだろうね。

だから、遊びじゃ愛し合ったとは言えないし
身体を交わしたからと言って、それが真実の愛でも無い。

もはや、そこには、自己愛すらない、渇き切った干涸びている底辺の生き様。

そこにも笑顔を忘れずに、
死ぬか? / 信仰にすがるか? 発狂するか?
生きる死ぬで二択、生きても二択の逃げしかない。

神を探すのは、日本的かな?!
唯一神の信仰の国だと、きっと
え?!神はキリストでしょ?とか
神は、アラーの神でしょ?で

終わっちゃいそうなのに、
日本は戦後新興宗教多いなぁと。

アニミズム信仰もあるのが知れないね、八百万の神さまたち信仰。

死を覚悟して働くのに、人間は愛を契約にして、契りを交わし、次世代へその血族と遺産を繋いでゆく。

その連鎖が破綻した世界から描かれるので
いきなり最初のシーンから、
鈍器で、ボコッと土手っ腹叩かれるような、
動けない、逃げられない苦痛と苦悩を
最後まで、観衆は共にしてゆく。

その中で、ほんの僅かに信じられるものや、
期待しても良さそうなことを見つけ
ほのかに幸せにニヤついたり、

裏切られて、鬼の心になってしまいかけたり。
修羅場は人生、ある人はあるのだろうか?!

タイトルの茜色が、何故、赤と表現しなかったんだろう?と少し考えた。

日がしづむ夕焼け空の意味することは、
夜の始まりなのに、中々夜が来てくれない。

夕焼け空が燃える時なのだろう。
それを人は、黄昏時と呼ぶ。

人生を黄昏ちゃってしまう時って
終わりの始まりなんだろうなと。
となると、夜が来て朝日が登れば
また、がんばりましょぃ!って

次の日の双六の一コマを進めるわけだ。

それが進まないどん詰まりに落ち込んだ時、
悩んだ方は、必ず、自死を選ばず

人の道を外れる事なく、
生きる選択を出来ますか?と

エンドロール前に、観衆は最終テストを受けさせられているのかも知れないね。

でないと、映画終わって、劇場の椅子から立って、帰宅できないし。汗笑

中々、重奏低音のような、普遍的だけど重いテーマを、よく演じ切るなぁと関心もありました。

心に刺さる映画の一つになりました。

主役の女優さんは、お芝居と、日常が、かなり印象違って、いい役者さんだなと、見直せた作品でもありました。

軽々には楽しめる感じではないものの、いつか、そらも人生の早いうちに、悟っておく意味で、
一度ご覧になるのはいいかもです。

朝日新聞が作る映画って、実社会で何か似た事件が有って、上級国民とか、

被害者が被害者づらしてカネせびってんじゃねーよ的なtweetが炎上して、裁判沙汰になったりに、

寄せ過ぎてて、社会問題化させたい映画なんだろうなぁと思うと、少し醒めてしまった。

過去に変更報道した椿事件うやむやなので、そこで働こうとも思えないし、むしろあんまり個人的には朝日新聞好きではないので、
そういう煽り系左翼的な論調もあるのね。
存在否定はしないよ、そうでない、
Yet Another な生き様のHappy を鬱の自分でも、
ふつー探しそうよねとは、思えてしまった。

報道やマスコミ、情報産業は、中立でないと意味が無い。


青年の真っ直ぐさや、母子家庭の辛さは、
片親育ち、捨て子経験あるゆえに、
よーく共感出来て、
逆に客観的にドライに見てしまえました。

原作が気になります!
機会を作って、読んでみたいです。

^ - ^)o

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第46回報知映画賞新人賞(片山友希)
第43回ヨコハマ映画祭
・主演女優賞(尾野真千子)
・助演女優賞(片山友希)
第76回毎日映画コンクール
・女優主演賞(尾野真千子)
・スポニチグランプリ新人賞(和田庵)
・スポニチグランプリ新人賞(片山友希)
第35回高崎映画祭
・最優秀新人作優賞(片山友希)
・最優秀新人俳優賞(和田庵)
・第95回キネマ旬報ベスト・テン
・日本映画ベスト・テン 第2位
・読者選出日本映画ベスト・テン 第3位
・主演女優賞(尾野真千子)
・新人男優賞(和田庵)
おおさかシネマフェスティバル2022
・日本映画ベストテン 第6位
・主演女優賞(尾野真千子)
・新人女優賞(片山友希)
第31回日本映画プロフェッショナル大賞
・ベストテン第6位


・監督・脚本・編集:石井裕也
・音楽:河野文洋
主題歌:GOING UNDER GROUND 「ハートビート」(ビクターエンタテインメント)
・製作:五老剛、竹内力
・ゼネラルプロデューサー:河村光席
エグゼクティブプロデューサー:飯田雅裕
・プロデューサー:永井拓郎、神保友香
・共同プロデューサー:中島裕作、徳原重之、長井龍
撮影 : 鎌苅洋一
照明:長田達
録音:小松将人
美術・装節:
衣装:石上淳一
ヘアメイク:豊川京子

編集:岡崎正弥
VFXプロデューサー:赤羽智史
音響効果:柴崎惠治
助監督:岡部哲他
アソシエイトプロデューサー/スチール:内堀義之
ラインプロデューサー:氏家英樹
配給:フィルムランド、朝日新聞社、スターサンズ
制作プロダクション:RIKIプロジェクト
製作幹事:朝日新聞社
製作:「茜色に焼かれる」フィルムパートナーズ
(朝日新聞社、RIKIプロジェクト) 
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