ブルース・チャトウィンを知らなかったので見ようとは思っていなかったけど、岩波ホール最後の上映作品なので観に行くことにした。
今作を見るにあたり、ブルース・チャトウィンの小説に触れてみようと思った。
「パタゴニア」か「ソングライン」にしようと思い図書館で調べたら、「パタゴニア」が貸出中だったので「ソングライン」を借りてみた。
なかなか分厚い本で、半分も読めないうちに岩波ホールが閉館してしまいそうなので、読破は諦めて鑑賞した。
神話を旅する作家と映画監督という、神話を共通点としてブルース・チャトウィンの軌跡を美しい映像で描く。(追記:字幕では神話だったけど、民族のほうがニュアンスは近い気がする。)
章立てになっていて、パタゴニアの話、アボリジニの話、クラウス・キンスキーの話が特に印象的。
「ソングライン」でアボリジニの土地に対する考え方が頭に入っていたけど、思ったより掘り下げた内容ではなかったと思う。
キンスキーを語るヘルツォークが生き生きとしていて、見どころといえば見どころかもしれない。
儀式的な音楽、神話にそった映像、死のオーラが漂うブルース・チャトウィン。
晩年のヘルツォークが、同じ信条のブルース・チャトウィンに自分を重ねて、回顧するような作りだった。
神保町駅のホームの案内板にも岩波ホールの表記がある。
岩波ホールの閉館は、神保町のひとつの時代の終焉と、映画館という文化の衰退を感じさせる。
映画の終盤のもの悲しさが岩波ホールの運命とも重なり、映画好きとして、ミニシアターを愛するものとして、さまざまな思いがこみ上げた。
岩波ホールありがとう。