小雨

ヘカテ デジタルリマスター版の小雨のレビュー・感想・評価

3.3
この手のファム・ファタルものというのは、結局、おとこが勝手にくるっていくお話なのでそんなに面白いものでも目新しいものでもない。でも何となく観る。
けど、いわゆるファム・ファタルとは少々ちがう気もする。クロチルドはたしかに男をほろぼす運命の女という立ち位置ではあるのだけれど、ひじょうに冷めて見える。ゆえに、ただただロシェルが一方的に理想をかさねてそれ以外の側面は見ず、思い通りにならなくて箍が外れる、そういうおろかな男たちを冷え冷えと見下ろすタイトルとしてのヘカテなのかという気もする。
ポール・モラン『ヘカテの犬たち』は未読なのでてきとうな感想に過ぎないのだが。

なんとなく「シェルタリング・スカイ」を想起するけれど、本当にもっとずっと単純な展開という感じ。
劇場で公開していたときに観にいけなかったので期待をこめていたけれど、やっぱりひとりの女性におぼれて身を滅ぼすおとこの物語にすぎない。
終盤のロシェルの虚無的な目つきと幕切れのかれらのすこし笑みのまざるやり取りが印象にのこって、それは良かったところ。
小雨

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