Ryoma

ヘカテ デジタルリマスター版のRyomaのレビュー・感想・評価

4.0
1942年、ひとりの男性外交官がスイス🇨🇭の首都ベルンにて回想に耽る…北アフリカの国で愛したひとりの女性のことを…まず、モロッコ🇲🇦のカサブランカやマラケシュ、ラバトを想起させる情緒漂う街並みや砂漠🏜の景色などの異国感溢れるロケーションが素晴らしく、そのショットのひとつひとつが凝っていて製作側のセンスの良さが際立っていた。
しっとりと進んでいく大人の恋愛劇において、バックに流れる穏やかなピアノ🎹の旋律も心地よくゆったりとした作品の世界観に酔いしれ堪能することができた。
欲望に駆られ我を失っていく男の哀れさを皮肉っぽく詰っていたのとは裏腹に女性が男を思うがままに弄ぶような姿が垣間見れ、未練がましい男性像とさっぱりとした女性像が描かれることでより鮮明に男性の愚かさや未熟さ、女性の聡明さが浮き彫りになるようだった。
しかしながら、回想を経て再会を果たす2人の姿は、若かりし彼らが歪み合っていた姿ではなく、互いに老成して落ち着いた様子が見え、爽やかな感動すら覚えた。2人の表情がすべてを物語っていて、あの頃の出来事も素敵な思い出だと言わんばかりの頬を緩ませた彼らの表情が印象的だった。最後のシーンがあることで、作品の奥深さが底上げされているように感じるし、凄く感慨深く叙情的になるのは自分だけだろうか。
Ryoma

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