サル・ミネオ主演!というだけでウキウキしてしまった。少年の頃からなぜか闇のある役どころの多い人だったが、大人になったこの映画ではイタ電変態ストーカー。普通にイイ男なのでどうしてストーカー化してしまうのか?と思うのだが、そこはいろいろと複雑な事情がそうさせていて、普通の人間ではいられない彼の個性が活かされている。
ヒロインのジュリエット・プラウズはジムのプールで一緒になったサル・ミネオに自分の身体で拭いたタオルを貸してやるなどかなり勘違いさせる行動をとっており、これはこれでちょっと問題がある。
面白い場面はいくつかあるが、サスペンスとしては少々凡庸。実は最大の見どころは音楽。山下達郎のソロデビュー録音を指揮したチャーリー・カレロ(BGMのみ)、フォー・シーズンズのボブ・ゴーディオ、そしてのちに『ポセイドン・アドベンチャー』の主題歌を書くアル・カシャの3人が書くとびきり甘美なポップスが素晴らしい。
ヒロインの仕事はダンスフロアでレコードをかける今でいうDJのようなことをやっていて、そこでかかるオリジナルソングもボブ・ゴーディオとアル・カシャの共作で、いつかサントラでフルバージョンが聴きたいものである。
それから『ダイヤモンドは永遠に』に出てくるゲイの殺し屋を演ったブルース・グローヴァーが一瞬出てくる。観たことある顔だと思ったら、やっぱり。