クシーくん

ヴィンニー=プーフのクシーくんのレビュー・感想・評価

ヴィンニー=プーフ(1969年製作の映画)
3.4
ディズニーによる1966年公開の短編「くまのプーさん」から3年ばかり遅れて発表されたソ連版くまのプーさん。ロシア本国ではかなり人気があり、ディズニー版を上回る人気と知名度を誇るとか。

フィルマークスでは1本のみの登録になっているが、フョードル・ヒトルーク監督によるプーさんのアニメ作品は以下三本製作されている。
ヴィンニ・プーフ Винни-Пух (1969年)
ヴィンニ・プーフ お客になる Винни-Пух идёт в гости (1971年) 
ヴィンニ・プーフと忙しい日 Винни-Пух и день забот (1972年)

それぞれ、プーが黒雲になって風船で空へ上がり、蜂蜜を取ろうとするが失敗する話、ウサギの家でごちそうになり、食べすぎて穴から抜けなくなる話、イーヨーの尻尾と誕生日プレゼントを贈る話と、原作でも人気のエピソードが採択されている。クリストファー・ロビンが登場しないため、プーフ達が人形であるという側面は強調されず、またクレヨンで描いたような美しい背景が閉じた世界での子供らしさ、童話的な演出をより強めている。どう見てもまん丸いタヌキにしか見えないヴィンニ・プーフは原作同様詩人で、しょっちゅう変な歌を早口で歌っている。
ヒグマなので鋭い爪も持っていて、ディズニー版に比べて若干図々しさがパワーアップしていて、扉も後ろ足で蹴ってノックしているので、かなりワイルドでラフな奴に見える。ピタチョーク(ピグレット)は青い目をしてズボンを履いた子豚で、高い声でチョコチョコ動いてすんごく可愛い。ピタチョークの可愛さだけでも観て欲しい。イーアー(イーヨー)、ラビット、オウルは概ね原作を踏襲しているが、何故かラビットだけ上下服を着ていて眼鏡まで掛けている。何かの暗喩だろうか。

フィルムの再生速度をわざと巻いてセリフのピッチを上げる事で、キャラクター全員甲高い声になっている。プーフを演じるエフゲニー・レオーノフの野太い声も、まるでカートマンのようなダミ声に変化していて面白い。くまのプーさんらしさは正直全然無いが、これはこれでありだなと思う。
クシーくん

クシーくん