疎外と包摂をこんなに饒舌に見せたのは凄い。
家族、セクシュアリティ、寒村の閉塞感、自然と人間、動物と人間性。。
叔父に育てられているソルの成長とハルモニの老化は同じ人間の生の中にあることだ。
言い表せない愛情を向けるのは動物へも人間へも感じる慈しみだし、拒絶が生じるのも切り離せない思いがあるからではないか。
すごく好感を持ったのが、自然がなにか癒しや許しを与えるあくまで人間目線の有用なものとして描かれていなかったところ。
放牧が自然の力を借りるものであるように、力を借りているのは人の方。
たびたび「行方不明」になる描写が出てくる。姿が見えないとき、その人の存在が濃くなる描写は象徴的だった。
理想への距離と人と人の間合いが遠い場所なのか、ここにいるから遠くを想うのか。
会話の少ないし、音楽もならないけど、
葉っぱが擦れる音、土をふむ音、牛の鳴き声が耳に残る。
ベテランのキジュボン俳優の存在感が際立つ。